トラブルシューティング

Q1. PDF Serverコントロールセンターを起動するとウィンドウのタイトルに「評価版」と表示されます。これはなぜですか?

A1. 製品版のライセンスファイルがインストールされていないようです。製品をインストールした後、ライセンスファイルのインストールを行っていない場合、PDF Serverは「評価版」として機能します。(「評価版」のPDF Serverによって出力されるPDFファイルには、赤字で「AH PDF Server V4」という透かしが入ります。)製品購入時、またはライセンス更新時に入手されたライセンスファイルをインストールしてください。

Q2. 付属のPDF生成仮想プリンタドライバ「Antenna House PDF Driver 8.0」を自分のコンピュータにインストールし、これを使ってOfficeファイルからPDFファイルを作成すると出力されるPDFファイルに赤字で「Antenna House PDF Driver」という透かしが入ります。同じOfficeファイルをPDF Serverを使ってPDFに変換した場合には、この透かしが入りません。これはなぜですか?

A2. 製品に付属のPDFドライバは、PDF Server専用となっております。お問い合わせにあるようにこれをプリンタとして選択し、印刷するとドライバは「評価版」として機能します。そのため、出力されるPDFファイルのすべてのページに評価版で出力されたことを示す「Antenna House PDF Driver」という透かしが設定されます。

Q3. 監視フォルダにファイルを入れても、ファイルが処理されません。なぜですか?

A3. 処理対象のタスクが開始しているか、確認してください。

対象となるファイルが、入力ファイル形式としてタスクに設定されていることを確認してください。なお、処理対象となるファイル形式は、以下の通りです。
【イメージファイル】BMP / TIFF (Multi-TIFF) / JPEG / PNG / JPEG2000
【アプリケーションファイル】PDF / Microsoft Word / Microsoft Excel / Microsoft PowerPoint / TEXT/XML/「アプリケーション変換設定」画面に登録されている拡張子のアプリケーション文書ファイル

対象となるファイルが、変換除外ファイル設定の対象となっていないか確認してください。

タスクに設定されている監視フォルダとしてWindows ネットワーク共有フォルダが指定されている場合、このフォルダにアクセスできることを確認してください。

タスク開始後、タスクに設定されているインターバル(時間)が経過していることを確認してください。PDF Serverは、タスクを開始と同時に監視フォルダをチェックするわけではなく、タスクに設定されているインターバル時間が経過した後、初めてチェックします。

Q4. しおりや文書情報などが設定してあるPDFファイルを処理させると、出力されたPDFファイルに元のしおりや文書情報が削除されることがあります。なぜですか?

A4. PDFファイルを処理する場合、対象となるPDFファイルから、ファイルを構成するページを抽出し、これに処理を加えた後、オリジナルのファイルと同じページ構成の新しいファイルを作成します。その際、PDF Serverによる処理によって出力されるファイルには、元ファイルを構成するページとしおり/注釈/フォームはコピーされますが、これら以外のJavaScriptや添付ファイルなどは抜け落ちる(削除される)ことになります。文書情報に関しては変換設定「文書情報設定」で「入力ファイルがPDFの場合、文書情報をコピーする」が設定されている場合は元ファイルから作成されるファイルに文書情報がコピーされます。但し、ファイル結合が設定されている場合は、出力されるファイルの先頭ページにあたる元ファイルのPDFの文書情報がコピーされるので、このファイルに文書情報が設定されていなければなりません。

Q5. OCR処理されたPDFファイルを開いてもその結果として生成されているはずのテキストが画面上に全く表示されません。なぜですか?

A5. OCR処理によってPDFファイルに埋め込まれるテキストは、すべて「透明」(非表示)の状態で設定されます。PDF閲覧ソフトのテキスト選択ツールで何も選択することが出来ない場合には、OCR処理によって全くテキストが抽出できなかったことを意味します。

Q6. OCR処理したのですが、文字を正しく読み取ってくれません。文字認識率を向上させるにはどうすればよいですか?

A6. OCR文字認識率は、原稿の状態、原稿の内容(手書きや、原稿が斜めになっている)、及び原稿をスキャンする時の設定条件などにより大きく変化します(本製品が搭載しているOCRエンジンは、活字文書用です。従って、手書き文字はほとんど認識することができません)。文字認識率を向上させるために以下をお試しください。ただし、下記の事項を試したことによって向上する文字認識率には限度があることをあらかじめご了承ください。

  1. 原稿をスキャンする解像度を変更する。
    9 ~ 12ポイント程度の大きさの文字の場合であれば、144 ~ 300 dpi程度の解像度でスキャンします。600dpiなど、より高い解像度でスキャンした場合、逆に認識率が低下する場合があります。
  2. スキャン時のコントラストの設定を高めにする。
  3. スキャン時の濃度設定を濃くする。
  4. 原稿の傾きができるだけ少なくなるようにスキャンする。
  5. カラー画像をモノクロ/グレースケール画像に変換する。
  6. OCRエンジン設定の“解像度”オプションを変更する。
  7. OCRエンジン設定の“傾き補正”、“回転補正”オプションを設定し、正立した状態で処理されるようにする。

Q7. 出力されたテキストファイルが白紙で出力されることがあります。なぜですか?

A7. OCR認識文字列のないファイルの場合、テキストファイルの設定で文書情報の設定のオプションを設定していない時、白紙で出力されます。

Q8. “自動で回転補正を行う”を設定しても、意図しない方向に回転してしまうことがあります。なぜですか?

A8. この機能は、完全なものではなく、限度があることをあらかじめご了承ください。原稿の状態やスキャンした画像の内容により、誤認識が発生し、"自動回転補正"が正しく機能しない場合があります。その場合には、このオプションを解除し、回転方向を指示するか、回転する必要がない正立した原稿を投入してください。

Q9. 高圧縮PDF出力したファイルをAcrobatを使って印刷するとメモリが大量に消費され、印刷時間も非常に遅くなります。もっと早く印刷する方法はありませんか?

A9. 高圧縮PDFファイルは、その内容によっては非常に数多くのオブジェクトによってページを構成することがあります。Acrobatがそのようなページを印刷する際には、大量のメモリを必要とし、時間を要します。これを避けるには、Acrobatの印刷ダイアログにあるボタン「詳細設定」をクリックして表示される「詳細設定」画面にあるオプション「画像として印刷」を指定します。これにより、印刷時間を短縮することができます。注意: 印刷に用いるプリンタが、PostScript対応の場合、このオプションを用いると高品質な印刷を行うことができません。

Q10. コンピュータを起動すると自動的にPDF Serverを「開始」状態になるように設定することはできませんか?

A10. 製品インストール直後の状態では、PDF Serverは手動で起動するように設定されています。これをコンピュータの起動と同時に開始させるには、Windowsコントロールパネル「管理ツール」にある「サービス」を使って行います。管理ツールを使って、サービス「AH PDF Server V4 Service」の「スタートアップの状態」を「自動」に変更します。また、サービス開始と同時にタスクを開始するには、PDF Serverコントロールセンターの「共通設定」―「起動時のタスク状態」で設定します。

Q11. コンピュータを起動するだけでログオンすることなくPDF Serverによる処理を行うことはできますか?

A11. PDF Driverを使用してPDFコンバーター経由でOffice文書やその他のアプリケーションの文書をPDFファイルに変換する場合は、必ずログオンしなければなりません。

Q12. Office文書のPDF変換を行うのですが、コンピュータを常時ログオンした状態で運用することにセキュリティ面での不安があります。そこで、Windowsの画面をロックした状態で運用しようと考えているのですが、そのような状態でもOffice文書のPDF変換を行うことは可能でしょうか?

A12. 可能です。一度ログオンしてしまえば、画面をロックした状態でもOffice文書をPDFファイルに変換することができます。

Q13. Office文書のPDF変換を行うのですが、変換に失敗してしまいます。

A13. 「タスクマネージャ」の「プロセス」タブ画面を表示し、製品付属の常駐アプリケーション「PDFコンバーター(PDFConverter.exe)」のプロセスが1つだけ動作していることを確認してください(動作中には、タスクトレイにアイコンが表示されます)。PDFコンバーターが、動作していない状態や複数のPDFコンバーターのプロセスが動作している状態では、Office文書/アプリケーション文書をPDFファイルに変換することができません。動作していないときには、Windowsの「スタート」メニュー > 「すべてのプログラム」>「スタートアップ」>「PDFコンバーター」を選択してこれを起動してください。また、複数のPDFコンバーターのプロセスが動作している場合には、ログオンしているユーザー以外のPDFコンバーターのプロセスを終了してください。

Q14. MS Excelファイルの全シートをPDFファイルに変換する設定を行って処理させるのですが、エラーが発生しPDFファイルが出力されません。

A14. 複数のワークシートを持つExcelファイルで、ワークシートとワークシートの間に空のワークシートが挟まっている場合、エラーを生じPDFファイルを出力することができません。お手数ですが、空のワークシートを削除するか、ワークシートの順番を変更し、空のワークシートを最後に移動してください。

Q15. MS Wordファイルに設定されている「変更履歴」や「コメント」が、PDFファイルに出力されません。「変更履歴」や「コメント」がついた状態のPDFファイルを作成することはできませんか?

A15. 「オフィス変換設定」の「Word」画面のチェックボックス「変更履歴/コメントを出力する」にチェックすることで、変更履歴/コメントをPDFファイルに出力することができます。

Q16. 変換したファイルの出力先フォルダをローカルディスク上のフォルダから、ファイルサーバ上の共有フォルダに変更したところ、エラーが発生してファイルを出力できません。エクスプローラから、この共有フォルダへエラーを生じることなくファイルの読み書きができます。なにか、設定を間違えたのでしょうか?

A16. PDF Serverは、通常のアプリケーションとは異なり、サービスアプリケーションです。そのため、ユーザーがエクスプローラでファイルを操作するのとは異なり、PDF Serverが動作しているPCのローカルアカウントによってファイルを操作しています。また、サービスの様にシステムに常駐するようなソフトウェアを介して、システム内部からの攻撃を防御する為、セキュリティ監査のチェックが、厳しくなっております。これは、Microsoft のセキュリティポリシーによるものです。ネットワークドライブを監視/出力フォルダとして用いる場合には、上で説明したセキュリティポリシーを変更する必要があります。セキュリティポリシーの変更は、システム内部からの攻撃を可能とする変更を行うため、セキュリティの面からお勧めできません。このことを十分理解した上、設定を行ってください。

  1. PDF Serverを動作させる「Administrator」以外の管理者権限を持つアカウントを用意します。
  2. 手順1で用意したアカウントに対してパスワードを設定します。
  3. 手順1で用意したアカウントでサービスとしてログオンできるように設定します。その手順は、以下の通り。
    1. コントロールパネル「管理ツール」内にある管理コンソール「ローカルセキュリティポリシー」を開きます。
    2. 「ローカルポリシー」>「ユーザー権利の割り当て」を選択して画面右に表示されるリストにある「サービスとしてログオン」をダブルクリックして開きます。
    3. 表示される画面の「ローカルセキュリティの設定」タブ画面にあるボタン「ユーザーまたはグループの追加」をクリックして表示される画面を使って、手順1で用意したアカウントを追加します。
  4. PDF Serverのサービス(AH PDF Server V4 Service)の実行権限を手順1で用意したユーザーに与えます。その手順は、以下の通り。
    1. コントロールパネル「管理ツール」内にある管理コンソール「サービス」を開きます。
    2. サービス「AH PDF Server V4 Service」をダブルクリックして開きます。
    3. 「ログイン」タブをクリックして表示される画面を使って、ログオンアカウントを設定します。
  5. ネットワークドライブを所有するPC(サーバ)にも手順1で設定したログインユーザとパスワードを設定します。通常、この状態であればネットワークドライブをアクセスする際にユーザ名とパスワードの入力を求められる事なくアクセス出来ると思います。もし、アクセスできない場合には、上記のいずれかの設定が間違っている可能性がありますので、再度確認して下さい。
    なお、「Administrator」は、特別なアカウントなのでこれを使用することは避けてください。

Q17. ネットワークドライブ上のフォルダを入力(監視)/出力フォルダにそれぞれ指定すると、監視動作でエラーが発生します。

A17. ネットワークドライブ上のフォルダを入力(監視)/出力フォルダに指定する場合には、UNC形式(¥¥コンピューター名¥共有フォルダ名)で指定して下さい。

Q18. マニュアルの記述に従ってPDFコンバーターをタスクスケジューラに登録したのですが、ログオンしてもすぐにはPDFコンバーターが起動しません。PDFコンバータをログオンしてすぐに起動させるにはどうすればよいですか?

A18. これは、タスクスケジューラから起動されるプロセスの基本優先度が「通常以下」となることが原因です。御利用の環境によっては、インストールされているソフトウェアの優先度により、PDFコンバーターの起動に時間を要する場合があります。タスクスケジューラには、タスクの優先度を編集するための設定項目がないため、以下の方法によってタスクの編集・設定を行います。

  1. マニュアルの記述にしたがい、タスクスケジューラを使ってPDFコンバーターを起動するタスクを設定します。
  2. 作成したタスクをXMLファイルとしてエクスポートすると同時にこれを削除します。
  3. エクスポートしたXMLファイルをメモ帳など、適当なテキストエディタを用いて編集します。編集箇所は、<Task> → <Settings> → <Priority> にある値です。(例の場合には「7」になります。)基本優先度を「通常」に設定するには<Priority>の値を「7」から「6」に変更した後、上書き保存します。
  4. 手順3で保存したXMLファイルをインポートします。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-16"?>

<Task version="1.2" xmlns="http://schemas.microsoft.com/···">

           :

   <Settings>

           :

      <Priority>7</Priority>

   </Settings>

           :

</Task>

XMLファイルの例

なお、Priorityの値とプロセスの基本優先度の関係は以下の通りです。

Priority

基本優先度

0

リアルタイム

1

3

通常以上

6

通常

7

通常以下

9

注意

優先度の設定には十分注意してください。優先度を“0(リアルタイム)”に設定するとPDFコンバータのプロセスが全てのCPUリソースを占有することになるため、他のプロセスが遅くなる可能性があります。また、優先度を上げすぎるとシステム全体の安定性に影響を及ぼす可能性があります。

参考: TaskSettings.Priorityプロパティ

https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/win32/taskschd/tasksettings-priority