INX出力

AH Formatter V6.6 では、INX(InDesign® Interchange ファイル)を出力することができます。

INXを出力するためには、「AH Formatter INX 出力オプション」をご購入していただく必要があります。 詳しくは、弊社ウェブサイトを参照してください。

INX出力の特徴

INXは、Adobe の InDesign® や、InCopy®、GoLive® などの関連製品で互いに読み込みができるようにするための交換用のXMLファイルです。INXフォーマットには、InDesign® のオブジェクトやプロパティが要素や属性で完全な形で保管されています。AH FormatterのINX出力では、XSL-FO からの組版の中間形式であるエリアツリーからINXファイルを生成します。

INXファイルを出力することにより、AH Formatter の組版結果を InDesign® で編集することができます。

INXの出力モード

InDesign® では、テキストを格納するオブジェクトをテキストフレームと呼びます。INX出力では、このテキストフレームの作成方法に3つの種類を持っており、出力時にコマンドラインインターフェイスや、オプション設定ファイル などで指定ができます。

  1. テキストエリア単位出力モード

    テキストエリアごとにテキストフレームを生成します。テキストエリアは、XSL-FOのfo:inlineに該当します。AH Formatterの組版レイアウトにもっとも近く変換できます。しかし、テキストエリアごとに変換するため、本来つながっている文字列が文字の修飾の違いのため分割され、複数のテキストフレームを生成することもあります。変換後の修正については困難を要する場合があります。

  2. 行単位出力モード

    ラインエリアごとにテキストフレームを生成します。ラインエリアは、XSL-FOのfo:blockから生成される各行に対応します。上記テキストエリア単位出力のモードよりも1行単位での編集は、行いやすくなっています。ただし、変換精度は、上記1のモードより若干劣ります。

  3. ブロック単位出力モード

    ブロックエリアごとにテキストフレームを生成します。ここでブロックエリアは、XSL-FOのfo:blockに対応します。上記ふたつのモードよりも編集が大変しやすくなっていますが、その分変換精度を犠牲にしています。

以上の変換モードにをレイアウトの再現性、編集のしやすさから比べると以下のようになります。

レイアウトの再現性

良い       悪い
 1 > 2 > 3

編集のしやすさ

良い       悪い
 3 > 2 > 1

制限事項

INX出力ではFOの要素やプロパティ等について、以下のような制約があります。 CSSを使った組版に対しても、XSLの制約に対応した同様の制約があります。

テーブル

  • テーブルのセル内のテキスト・イメージは、アンカー付きオブジェクトに変換されます。また、セル内は、出力モードが他のモードを指定していても「テキストエリア単位出力モード」となります。
  • AH Formatter と Indesign® の文字の送り方の違いにより、セルから枠がはみ出る場合があります。

ボーダー

  • ボーダーの線種で、double、dashed、dotted、dot-dash、dot-dot-dash 以外は solid とみなされます。
  • テーブルのセルのボーダー以外は、Indesign® の線ツールで実現しています。
  • fo:table へのボーダー指定は無視されます。
  • 対角罫は、fo:table-cell に対してだけ有効です。
  • 丸め罫はサポートされません。標準の四角のボーダーとなります。

画像

  • 画像については、サイズを正しく変換できないため、InDesign® 上で画像オブジェクトのリサイズを行う必要があります。
  • サポートされるラスタ画像はBMP・JPEG・PNG・TIFF・GIF、ベクタ画像はWMF・EMF・EPSです。ベクタ画像のSVG、MathML、CGMはサポートされません。またPDFはINXからの読み込みの際、InDesign® 上でラスタ化されますので画像が劣化します。
  • background-repeat="repeat" には対応していません。
  • 画像は、INXファイル内に埋め込まれます。

テキスト

  • AH Formatter と InDesign® の文字の送り方の違いにより、テキストフレームに文字が収まらない場合があります。このときはフレームを手動で大きくする必要があります。
  • letter-spacing が指定されていると、1文字ずつのテキストフレームが作成されます。
  • text-align に "justify" が指定されると、まれに InDesign®AH Formatter とで表示が異なることがあります。(FOのテキストにU+200Bが存在する場合など)

フォント

  • XSL-FOで存在しないフォント(例えば「MS 明朝」のボールド書体)を指定している場合、INXの読み込みで InDesign® が警告エラーを出し、代替フォントで置換されます。

リーダー

  • リーダーは、double、dashed、dotted、dot-dash、dot-dot-dash、dots、use-contentがサポートされます。それ以外は solid とみなされます。

その他

  • PDFのしおりは、階層構造のないものとなります。
  • トンボには、対応していません。
  • 文書情報には、対応していません。
  • 注釈には、対応していません。
  • ICCプロファイル指定には対応していません。
  • ヘブライ語、アラビア語、タイ語などの複雑なスクリプトの言語の文書には対応していません。
  • リガチャには対応していません。
  • 異体字選択には対応していません。
  • 外字には対応していません。
  • 行番号(axf:line-number) がある行は、出力モードに他のモードを指定していても「テキストエリア単位出力モード」となります。
  • 下線と上線が同時に指定されているときは、下線が優先されます。(InDesign® では、上線は下線の一部のため)
  • 同じ行にテキストとイメージが混在するときは、出力モードに他のモードを指定していても「テキストエリア単位出力モード」となります。
  • XSL-FO では一文書に複数のサイズのページマスタを定義できますが InDesign® ではできません。このため INX 出力オプションでは、最初に使用されたページマスタを採用してINXに出力します。
  • テーブルの中の個々の要素は回転できません。