MIF 出力オプション
MIF 出力オプション概要
「MIF 出力オプション」は、『AH Formatter』で動作し、組版結果を MIF(Maker Interchange Format ファイル)に出力するためのオプションです。MIF は、Adobe の FrameMaker® と他のアプリケーションとの間で情報を交換するためのフォーマットです。MIF フォーマットには、FrameMaker® のオブジェクトやプロパティが完全な形で保管されています。『AH Formatter』の MIF 出力では、XSL-FO からの組版の中間形式であるエリアツリーから MIF ファイルを生成します。以下は、『AH Formatter』から出力された MIF ファイルを「FrameMaker® 8」で読み込んだ表示画面です。FrameMaker® の機能を使用して編集したり PDF 出力を行うことができます。

出力モード
FrameMaker® では、テキストは ParaLine に格納されます。「MIF 出力オプション」では、この ParaLine の作成方法に 3つの種類を持っており、出力時に指定ができます。
- テキストエリア単位出力モード
テキストエリアごとにテキストフレームを生成します。テキストエリアは、XSL-FO の fo:inline に該当します。『AH Formatter』の組版レイアウトに最も近く変換できます。しかし、テキストエリアごとに変換するため、本来つながっている文字列が文字の修飾の違いのため分割され、複数のテキストフレームを生成することもあります。変換後の修正については困難を要する場合があります。
- 行単位出力モード
ラインエリアごとにテキストフレームを生成します。ラインエリアは、XSL-FO の fo:block から生成される各行に対応します。上記テキストエリア単位出力のモードよりも 1行単位での編集は、行いやすくなっています。ただし、変換精度は、上記の「テキストエリア単位出力モード」より若干劣ります。
- ブロック単位出力モード
ブロックエリアごとにテキストフレームを生成します。ここでブロックエリアは、XSL-FO の fo:block に対応します。上記ふたつのモードよりも編集が大変しやすくなっていますが、その分変換精度を犠牲にしています。
画像出力の方法
画像の扱い方として次のふたつの方法があります。これらは、コマンドラインインターフェイスや、オプション設定ファイルなどで指定することができます。
- すべての画像を MIF に埋め込む
ラスタイメージは MIF の内部形式にしたがって画像を 16進文字列に変換して埋め込みます。ただし、EPS については表示イメージの TIFF を取り出して埋め込みますので、高解像度のイメージは失われます。
- 外部ファイルとしてリンク
リンク指定は MIF がファイル出力で、参照する画像もファイルである場合に有効となります。MIF がストリーム出力であるか、または画像が変換元に埋め込まれているなど、ファイルとして存在しないときは「外部ファイルとしてリンク」を指定していても画像は埋め込まれます。リンクする画像のパスは、組版対象の XML/FO/HTML ドキュメント中の画像ファイルの参照パスをそのまま使用します。
制限事項
「MIF 出力オプション」には FO の要素やプロパティ等について次の制限事項があります。
テーブル
- テーブルのセル内のテキスト、イメージは、アンカー付きオブジェクトに変換されます。また、セル内は、出力モードが他のモードを指定していても「テキストエリア単位出力モード」となります。
- 入れ子になったテーブル、テーブルセルにイメージと文字列が同時に割り付けられているものなど複雑なテーブルは正しく再現できないことがあります。
- 『AH Formatter』と FrameMaker® の文字の送り方の違いにより、セルから枠がはみ出る場合があります。
- テーブルとセルの回転はサポートされません。
ボーダー
- ボーダーの線種で double 以外は solid とみなされます。
- テーブルセルのボーダーの太さは、デフォルトの RulingCatalog に登録されている Thin、Medium、Thick、Very Thin の値で出力されます。
- 複雑なテーブルでボーダー種別が細かく指定されているとき、ボーダー指定が正しく再現できないことがあります。
- fo:table へのボーダー指定は無視されます。
- 丸め罫はサポートされません。標準の四角のボーダーとなります。
- テーブルセル以外のテキスト領域にボーダーや塗りが指定されているとき、テキストの領域とは別にボーダーや塗りの矩形を生成することがあります。その場合、編集時に ParaLine などを変更すると、ボーダーや塗りとテキストがずれることがあります。
画像
- サポートされるラスタイメージは、BMP、JPEG、PNG、TIFF、GIF で、ベクタイメージは、WMF、EMF、EPS、SVG、CGM、PDF です。ベクタイメージの MathML、Excel チャートはサポートされません。
- JPEG2000 は PNG に変換して埋め込みます。
テキスト
- 『AH Formatter』と FrameMaker® の文字の送り方の違いにより、ParaLine に文字が収まらない場合があります。このときは ParaLine を手動で大きくする必要があります。
- letter-spacing が指定されていると、1文字ずつの ParaLine が作成されます。
- text-align に "justify" が指定されると、まれに FrameMaker® と『AH Formatter』とで表示が異なることがあります(FO のテキストに U+200B が存在する場合など)。
フォント
- XSL-FO で存在しないフォント(たとえば「MS 明朝」のボールド書体)を指定している場合、MIF の読み込みで FrameMaker® が警告エラーを出し、代替フォントで置換されます。
リーダ
- リーダは、double、dashed、dotted、dot-dash、dot-dot-dash、dots、use-content がサポートされます。それ以外は solid とみなされます。
その他
- トンボには対応していません。
- 文書情報には対応していません。
- 注釈には対応していません。
- ICC カラープロファイル指定には対応していません。
- ヘブライ語、アラビア語、タイ語などの複雑なスクリプトの言語の文書には対応していません。
- 行番号(axf:line-number)がある行は、出力モードに他のモードを指定していても「テキストエリア単位出力モード」となります。
- 下線、上線、取り消し線が同時に指定されているときは、下線が優先されます。(FrameMaker® では、下線、上線、取り消し線のどれか一つが指定できます。)
- 同じ行にテキストとイメージが混在するときは、出力モードに他のモードを指定していても「テキストエリア単位出力モード」となります。
- XSL-FO では一文書に複数のサイズのページマスタを定義できますが FrameMaker® ではできません。このため「MIF 出力オプション」では、最初に使用されたページマスタを採用して MIF に出力します。
- FrameMaker® は縦組みをサポートしていませんので、縦組みの文書は正しく変換できません。
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