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複雑な体裁の問題集の組版

株式会社ベネッセコーポレーション様

概要

大学入試問題を扱った教材誌面の組版」(以降,『入試問題』)での成功を受け,高校の地歴公民科の定期テスト対策問題集を手がけました。問題と解答解説の複雑なレイアウトを実現しました。

運用

下記以外は『入試問題』の方法を踏襲しています。

【スキーマ作成】
社内の制作技術担当者が編集担当者と連携し,『入試問題』で作成したものを改良しました。スタイルシート開発の負荷減のために安直な構造にすると,XMLインスタンスが後々再利用できないものになってしまうため,まずは教材としての構造をきちんと定義しました。スタイルシートは,その構造に合わせて作成しました。

【XMLインスタンス作成】
今回は全問題新規作成のため,レイアウトソフトで原稿執筆し,タグエディタにコピーペーストするという方法を採りました。また,原稿作成~校正段階では「問題」ひとユニット,つまり問題・解答解説1ページずつを併せてひとファイルとして管理・組版を行いました。そして入稿前に全ファイルをマージして,組版を行いました。

文書構造とスタイルシートの特徴の例

  • 【全般】
    「問題」は一般に,次の要素からなります。
    • 「設問文」,「素材文」,「選択肢」,「解答」,「解説」や「採点基準」など,それ自身のコンテンツ
    • 子どもの「問題」

そのためスキーマでは,「問題」を一つのユニットに見立て,複数種類のコンテンツと,同形態のユニットである「問題」を,いずれも複数,順不同に持てるようにしました。「問題」のユニットは,無制限にネストできます。これは,MacOSやWindowsのファイルシステムに似ています(「問題」=フォルダ,コンテンツ=ファイル)。
このような文書構造のため,複雑な構造をとる「問題」も破綻なく表現できます。また,スタイルシートでは再帰的処理ができるとともに,「問題」の階層に応じてインデントを下げることも可能です。

スキーマでは「問題」のすべてのコンテンツはひとくくりで保持されていますが,スタイルシートにて,

  • 問題ページ…「問題」と「配点」を表示
  • 解答解説ページ…「解答」部と「解説」部に分かれ,「解答」では「正解」「別解」「順不同」を表示

するよう,制御しています。

  • 【選択肢】
    もちろん,スキーマでは一つ一つをタグで括っています。スタイルシートでは,選択肢の文字数や,複数選択肢の平均文字数をもとに,選択肢の並び方向を縦にするか横にするか,自動で判断します。
  • 【配点】
    スキーマでは最下層の「問題」にのみ持たせています。また,問題文のテキストではなく属性値にしているため,転用の際に配点のみ切り捨てるといったことも可能です。さらに,完全解答(複数設問すべてに正解してはじめて得点できる)にも対応しています。
    各階層での合計点は,スタイルシートで計算して出力しています。そのため,制作時,配点の過不足が直ちにわかるとともに配点変更時のデータ修正が最小限で済みます。
誌面サンプル:左が問題ページ・右が解答解説ページ
誌面サンプル:左が問題ページ・右が解答解説ページ

効果

  • 校了・汎用コンテンツを社内に残せました
  • 該当ページのプリプレス費用を,従来の50%に抑えました。残った50%はXMLインスタンス作成のためのコストです
  • 年次更新時の制作負荷を減らしました

Formatterの選定理由

『入試問題』で挙げた理由に加え,トンボ,細かな段組設定など,XSL-FOで未定義だが運用上必須の設定について,バージョンアップで速やかに実装される点。

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