第2章 パッケージ

ファイルプロパティ

MS Officeで作成したOOXMLのパッケージには通常docPropsフォルダがあり、そのフォルダにはcore.xmlとapp.xmlの2つのファイルが存在します。

これらはパッケージの文書情報を記述するためのパーツとなります。記載すべき情報がないような場合、これらのパーツが存在しなくともパッケージとして不正ではありません。

core.xmlにはOPCに基づくパッケージで共通する文書情報(あるいはメタデータと呼びます)が記述されています。

app.xmlはPresentationMLであればプレゼンテーションの形式など、それぞれのオフィスアプリケーションで固有の情報を記述します。

core.xml

core.xmlには文書情報が記録されています。coreProperties要素をルートとして、次の表の要素が列挙され、要素に該当する文書情報が格納されます。

要素名 説明
category パッケージカテゴリー
contentStatus 内容のステータス
contentType 内容タイプ
created 作成日
creator 作成者
description リソースの内容に関する説明
identifier リソースの参照
keywords キーワード
language 言語種別
lastModifiedBy 最終更新者
lastPrinted 最終印刷日
modified 更新者
revision リビジョン
subject 表題
title タイトル
version バージョン
プロパティを確認する
プロパティを確認する

文書プロパティの内容が、次のようにcore.xmlに反映されます。

core.xml
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" standalone="yes"?>
<cp:coreProperties
  xmlns:cp="http://schemas.openxmlformats.org/package/2006/metadata/core-properties"
  xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"
  xmlns:dcterms="http://purl.org/dc/terms/"
  xmlns:dcmitype="http://purl.org/dc/dcmitype/"
  xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance">
  <dc:title>回覧</dc:title>
  <dc:subject>親睦会開催のご案内</dc:subject>
  <dc:creator>総務部</dc:creator>
  <cp:keywords>サンプル</cp:keywords>
  <dc:description>コメント</dc:description>
  <cp:lastModifiedBy> </cp:lastModifiedBy>
  <cp:revision>6</cp:revision>
  <cp:lastPrinted>2003-03-08T02:15:00Z</cp:lastPrinted>
  <dcterms:created xsi:type="dcterms:W3CDTF">2007-05-31T09:23:00Z</dcterms:created>
  <dcterms:modified xsi:type="dcterms:W3CDTF">2007-06-02T07:16:00Z</dcterms:modified>
  <cp:category>回覧</cp:category>
</cp:coreProperties>

文書情報の名前空間

文書情報を記述する要素の一部はメタデータの規格であるDublin Coreに基づきます。Dublin Coreの名前空間は、上の例では接頭辞に「dc」を含むものです。cp:revisionなど、OPC固有のメタデータもあります。

app.xml

docProp/app.xmlはExtended File Properties Part(拡張ファイルプロパティパーツ)というパーツです。OOXMLで共通の文書情報と、それぞれのアプリケーションのための文書情報を記述します。

要素名 説明
Template 文書テンプレート名
Manager 管理者名
Company 会社名
Pages 総ページ数
Words 単語数
Characters 文字数
PresentationFormat プレゼンテーション形式
Lines 行数
Paragraphs 段落数
Slides スライドメタデータ要素
Notes コメントを含むスライド数
TotalTime 総編集時間
HiddenSlides 隠されたスライド数
MMClips 総マルチメディアクリップ数
ScaleCrop サムネイル表示モード
HeadingPairs 見出し
TitlesOfParts タイトル
LinksUpToDate 最新状態へのリンク
CharactersWithSpaces スペースを含む総文字数
SharedDoc 共有ドキュメント
HyperlinkBase 相対ハイパーリンクベース
HLinks ハイパーリンクリスト
HyperlinksChanged 変更されたハイパーリンク
DigSig 電子署名
Application アプリケーション名
AppVersion アプリケーションバージョン
DocSecurity 文書セキュリティ

「拡張ファイルプロパティパーツ」という名称は、OPCで定義されるCore Propertiesに対しての拡張を指すもので、OOXML仕様としては基本的な仕様です。app.xmlにない拡張プロパティを記述するには、Custom Properties Partというパーツを利用します。Custom Propertiesについては本書では扱いません。

app.xmlの例
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" standalone="yes"?>
<Properties
 xmlns="http://schemas.openxmlformats.org/officeDocument/2006/extended-properties"
 xmlns:vt="http://schemas.openxmlformats.org/officeDocument/2006/docPropsVTypes">
  <Template>社内懇親会のお知らせ.dot</Template>
  <TotalTime>16</TotalTime>
  <Pages>1</Pages>
  <Words>69</Words>
  <Characters>399</Characters>
  <Application>Microsoft Office Word</Application>
  <DocSecurity>0</DocSecurity>
  <Lines>3</Lines>
  <Paragraphs>1</Paragraphs>
  <ScaleCrop>false</ScaleCrop>
  <HeadingPairs>
    <vt:vector size="2" baseType="variant">
      <vt:variant>
        <vt:lpstr>Title</vt:lpstr>
      </vt:variant>
      <vt:variant>
        <vt:i4>1</vt:i4>
      </vt:variant>
    </vt:vector>
  </HeadingPairs>
  <TitlesOfParts>
    <vt:vector size="1" baseType="lpstr">
    <vt:lpstr/>
   </vt:vector>
  </TitlesOfParts>
  <Manager/>
  <Company>Microsoft Corporation</Company>
  <LinksUpToDate>false</LinksUpToDate>
  <CharactersWithSpaces>467</CharactersWithSpaces>
  <SharedDoc>false</SharedDoc>
  <HyperlinksChanged>false</HyperlinksChanged>
  <AppVersion>12.0000</AppVersion>
</Properties>

名前空間、XMLスキーマとしてはWordprocessingML、SpreadsheetML、PresentationMLのいずれも共通となります。

このほかのアプリケーション情報

アプリケーション情報に関連するほかのパーツとして、サムネイル画像を保持するThumbnail Partや電子署名用のElectric Signature Partが存在します。