行先番とWebグループウエア


2000年代に入って、在籍情報、電話の伝言、企業内の告知用掲示板のような情報共有には、Webグループウエアが普及してきました。さらに、最近は、WebグループウエアによるASPサービスを提供するホスティング・サービス会社が増えています。まさにWebグループウエア全盛の時代といえます。

しかし、Webグループウエアは本当に、スケジュールなどの企業内の日常情報共有という面で最適なツールでしょうか?私は、日頃からこれに関しては大きな疑問をもっています。

当社ではWebグループウエアとは異なるアプローチの『行先番』という簡易グループウエアを開発・販売しています。一種のクライアント・サーバ型グループウエアですが、こういうアプローチの製品はだんだん少なくなっているように感じます。しかし、今後、もっと見直されるべきではないかと考えています。以下に、行先番とWebグループウエアとの違いを整理してみたいと思います。

Webグループウエアの特徴

Webグループウエアとは次のようなものです。

Webグループウエアの長所

Webグループウエアの欠点

Webグループウエアを使うASPサービス

Webグループエアの普及にともなって、ASPサービスで提供しようというビジネスモデルが出現してきました。企業と契約して月額数千円から1万円程度の料金をとって、Webグループエアを提供するものです。

次のようなサービスがあります。

ASPサービスの長所

ASPサービスの欠点

行先番の特徴

行先番は、クライアント−サーバ型のグループエアです。但し、ロータス・ノーツや、MicrosoftExchangeのように規模が大きくてカスタマイズを行って導入するものではなく、頻繁に使用する機能だけに絞って、専用のアプリケーションとして実現したものです。

行先番の長所

行先番の欠点

グループウエアと生産性問題

上の述べたようにWebグループウエアと行先番の違いは、行先番の方がアプリケーション操作性、入力時の操作性、情報閲覧性が優れるということにあります。

この相違のため、例えば、次のような生産性の差が現れます。

データの書き込み1件では数秒の違いにしかなりません。しかし、グループウエアは大勢のメンバーが毎日使用するものです。スケジュール記入、行先・在席情報、電話メモのように日常に使用する機能の操作性は、仕事の生産性にかなり大きな影響があるでしょう。それは次のような試算をしてみると良く分かります。

例えば、1回のデータ書き込み、閲覧に2秒の差があるとします。そして、1人が1日20回データ書き込みまたは閲覧を行い、それを50人で、年間230日使うとします。 そうしますと、合計46万秒の差となります。これは128時間に相当しますので1人月弱の差となります。もし、3秒の差がありますと、69万秒、すなわち192時間の差となります。年間で見ますとかなり大きな人件費の差となります。

オフィスのホワイトボードを置き換えるような使用頻度の高いグループウエアでは、操作性を極めて大きな要因として重視するべきと考えます。特にWebグループウエアのみがもてはやされる風潮には問題があるでしょう。

2004年6月26日
小林 徳滋
koba@antenna.co.jp