PDF/Xについて (3) PDF/X-2

最終更新日: 2006/8/19

目次

はじめに

ここでは、PDF/Xファミリーの中でPDF/X-2についてまとめてみます。

PDF/X-2について

PDF/X-2は、PDF 1.4を用いた印刷データの部分交換という副題がついていて、次の仕様書で規定されています。

ISO 15930-5:2003
Part 5: Partial exchange of printing data using PDF 1.4 (PDF/X-2)

準拠ファイルとツール
PDF/X-2に準拠しているかどうかの判断は、PDFファイルのバージョン番号でするのではなく、PDFファイルに含まれている印刷用の複合実体の交換に必要な特徴がISO 15930-5:2003の仕様書に沿っているかどうかで判断しなければなりません。なお、印刷用複合実体の再現には関係ない情報が含まれていても差し支えありません。

PDF/X-2準拠のライター(作成ソフト)は、PDF/X-2のファイルを生成することができれば良いのですが、PDF/X-2準拠のリーダ(読むソフト)はPDF/X-2だけではなく、PDF/X-1a:2001、PDF/X-1a:2003、PDF/X-3:2002、PDF/X-3:2003のすべてを適切に処理できなければなりません。

従って、PDF/X-2が、PDF/Xシリーズの最上位規格ということができると思います。

部分交換
PDF/X-2は部分交換という副題がついています。部分交換とは、一部の印刷要素、または要素の資源を、交換から意図的に除外しておき、別途入手可能とする方式です。データ交換で除外された要素をユニークに識別するための情報を提供することができるようになっています。

PDF/X-2の仕様は、部分交換を可能にすることで、他の仕様を補完するものとされています。

※用語については
PDF/X-1, PDF/X-1a (ISO 15930-1:2001)をご覧ください。

PDF/X-2仕様の概要

1. PDF/X-3との関係

PDF/X-2の仕様は、PDF/X-3:2003の仕様のほぼすべての制約を満たさねばなりません。

PDF/X-3:2003については、次を参照してください。
PDF/Xについて (2) PDF/X-3

上のWebページで説明しているPDF/X-3:2003についての制約の中で、PDF/X-2に適用されないのは、次の4項目です。
1. PDF/X-3 ファイル構造
4. ファイル指定
6. トラッピング
7. PDF/X-3ファイルの識別

PDF/X-3が完全交換を目的としていて、一回のPDFファイル交換ですべての情報を交換しなければならないのに対し、PDF/X-2は部分交換を目的とするため、複数回に分けて情報交換を行うことを認めていることから、制約条件が変わっていることになります。

2. PDF/X-2ファイル構造

次にPDF/X-2の仕様の中で、PDF/X-3と異なる箇所を取り上げて説明します。

PDF/X-2では、複合実体のすべての要素がひとつのPDF/X-2ファイルに含まれているか、それとも、後述の外部参照要素の規定に準拠して識別できなければなりません。

※この下線を引いた部分が、PDF/X-3と異なる部分です。

3. PDF/X-2のファイル識別

Info辞書のGTS_PDFXVersionキーの値を(PDF/X-2:2003)とします。

Info辞書のその他のキーの使い方はPDF/X-3と同様です。

4. 外部参照要素

(1) 仕組み

PDF/X-2のファイルでは、印刷要素を省略することができます。この場合、省略した印刷要素については、Form XObjectの機能を使って代理データを含めておく必要があります。代理データはプレビュー画像などでも問題ありません。

代理データは、Reference XObjectの機構を使って、要素を置換するための対象データを指し示さねばなりません。この参照辞書にはIDを含めなければなりません。

PDF ReferenceのXObjectというのは、一塊の完結したグラフィックス・オブジェクトのことを言います。これは、Image XObject、Form XObject、PostScript XObjectの3種類が代表的なものでしたが、PDF 1.4からReference XObject、Group XObjectが追加されています。

このReference XObjectの機構を使うとあるPDFファイルの中に、別のPDFの内容を持ち込むことができます。PDF/X-2ではこの機構を使って別のPDFファイル(ターゲットPDF)を参照することで、部分交換を可能とします。

Reference XObjectのターゲットPDFは、PDF/X-1a:2001、PDF/X-1a;2003、PDF/X-3:2002、PDF/X-3:2003またはPDF/X-2:2003のいづれかでなければなりません。

Form XObject、Image XObjectのOPIキーを使うことはできません。

(2) ターゲット文書の識別

ターゲットPDFのCatalog辞書にはMetadataキーがなければなりません。メタデータを構成するデータは、XMP準拠になっていることが必要で、xapMM:DocumentID, xapMM:VersionID, xapMMRenditionClassプロパティを含まねばなりません。多くの場合、 xapMMRenditionClassの値は、defaultとなります。

※XMPについては、こちらを参照してください。
XMP™ (Extensible Metadata Platform)仕様についてのメモ

外部PDFを参照する元になる側のForm XObject(Reference XObjectのためのRefキーをもつもの)にも同じようにMetadataキーをもつ必要があります。

このMetadataキーの値となるメタデータ・ストリームには、XMPのxapMM:RenditionOf属性を含む必要があり、その値は、ResourceRef要素となります。また、xapMM:DocumentIDxapMM:VersionIDxapMM:RenditionClass属性を含まねばなリません。

xapMM:DocumentIDは、UUIDのような128ビット数のIDとし、ユニークになるように生成するべきです。

難しいですが、参照元のPDFのFormXObjectと、ターゲットのPDFをXMPのメタデータを使って対応関係を付けて、ターゲットを識別するということでしょう。

(3) ターゲットPDFの選択

PDF/X-2の仕様では、PDF/X-2のリーダが候補となるターゲットPDFを探す方法の機構までは定めていません。

但し、PDF/X-2のファイルは、OSや言語に依存しないように作るべきであり、PDF Referenceの仕様で言われている過搬性を満たすように注意するべき、とされています。

一旦、ターゲット候補となるPDFを認識できたならば、PDFの内部のオブジェクトのIDと、参照元とターゲットのメタデータを比較して、ターゲットを識別することができます。

(4) 外部文書の描画

PDF/X-2のすべての内容は、同じ印刷特性設定になるように準備されねばなりません。

また、すべてのターゲット文書にある外部データを使って描画する必要があり、ターゲット文書が欠落した状態で描画してはなりません。

また、ひとつのPDFを描画する時は、そのPDFに埋め込まれたフォントを使用しなければならず、他のPDFに埋め込まれたフォントを使用してはなりません。

ターゲット文書を含むPDFとそれに含まれるPDF間のオーバ・プリンティングは、PDF Referenceの定義に従って行います。

Form XObject のBBエントリの座標は、ターゲットPDFのメディアボックスの左下隅に対して相対とします。

5. ファイル指定

前項で述べたReference XObject以外の方法により、PDF Reference 3.10項に定めるファイル指定機能を使うことは禁止です。

6. トラッピング

ファイルを交換するにあたり、info辞書のTrappedキーを使わなければなりません。Trappedキーでは、PDF/X-2ファイルそれ自身のトラッピング状態を示しますが、参照されるファイルや、PDF/X-2ファイルと参照されるファイル間の組合せにの間でのトラッピング状態を示すことはありません。

もし、PDF/X-2ファイルの中のすべての印刷要素についてトラッピングされているなら、Trappedキーの値はTrueになります。それ以外のケースでは、キーの値はfalseです。部分的にトラッピングされたファイルは許可されません。PDF/X-2ではTrappedキーの値にunknownは許されません。

Trappnet注釈を含むなら、Trappedキーの値はTrueでなければなりません。

FontFauxingキーの値についての条件は、PDF/X-1aと同じです。また、PCMキーの値の条件は、PDF/X-3と同じです。


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